「昇格阻止」03年11月15日サンフレッチェ広島

いや〜俺は悩んだよ〜。明日はJ1昇格のかかる大一番、広島戦だっつーの。
よもやの最下位のチームが昇格を阻止!とかなるとこれは痛快じゃないか!
でも広島って遠いし、なにより連れが仕事の都合で誰一人これない。ひとりの観戦はちょっとツライ。
しかも天気は雨。車は前回、博多の森遠征時エンストこきまくって状態悪なんだよな。
19時出発を予定していたが悶々としたまま明日早朝の天気を見て高速で行こうときめた。

もやもやしたままボーっとテレビを見ていたが突然体に電源が入った!
10分で準備をして車に飛び乗った。エンジンをかけたときに21時の時報が鳴った。
常々突然の思いつきの行動には自分でもあきれるが今回は体が言うことをきかない!
いてもたってもいられないっちゅうことか。
車の走行メーターをみると「155`」・・「行こう!GO !じゃないか!!」
「ヲりゃ〜!」生活倉庫号(普段生活道具の倉庫代わりに使っている車)にムチ打ち、
夜中の国道2号線を疾走する。
くたびれたら寝ようと思って新南陽の海岸についた頃には時計は2時半を過ぎていた
(偶然だが関門海峡福岡-山口の境界を通過したのはちょうど0時)

※※※※※※
野宿が趣味ってことでどこでも寝れる特技をいかして今回は車中泊っつーことでもっと楽に寝れた。
そしてまだ夜が明けきれない6時半に出発!
新南陽-徳山-岩国は以前チャリダーだったころに通ったことがあったはずが
全くといって印象に残っているところがない。
工場の煤煙だらけで逃げ出したい一心だったんだよな〜。

そんこんなで広島に入ると2号線、高速道路並であっというまに
スタジアムの近くについた。今回、下調べしなかったのではっきりした場所が分からず
コンビニ店員のおばちゃんに尋ねると
「ん〜、もうちょっと山側の20分くらいいったとこ」
と教えてくれた。「20分!?」(えらい遠いな〜)
とおもいつつスタジアムを目指すと山間の道路から少し入ったところにド〜ン!と登場!
少し様子を見てから近くのお店とかぶらぶら見てみようと駐車場へ。
しか〜し!これが甘かった!
試合開始5時間前
試合開始5時間前なのに駐車場にはすでに広島ナンバーが20台!
近くの広島のレプユニを着た親子に近くに店がないか?と尋ねると一言、
「ん・・・・ないです」
しかも駐車場はもう埋まるんじゃないかとのこと。
仕方なく5時間もあるので少しぐらい歩いてもイイや、とスタジアムを後にした。
・・・が、ない。何も無い。いや、ほんとに無い。まじで何もなし!
電車の駅と広島修道大の門のみ。隣で高校サッカーの決勝あってたけど知らん高校やし
雨降り出したんでダンマクでもつくることにする。
「昇格阻止」とか「来期もよろしく」とか考えたけとあんまし煽動的なやつは
身の危険を感じてやめることに。結局落ち着いたのは「た の し い J 2」
こんぐらいおとなしいやつだったらまあいいやろう。

そんなこんなで試合開始2時間半前には続々広島サポが登場、開門も早くなりそうなので
サガン鳥栖セットに着替えてスタジアム門の辺に待機。
いやしかし広島、元J1だけあってグッズの売店から総合案内のテント、ファンクラブ
など充実していてほんとちゃんとしてるな〜と実感する。
比較しちゃ悪イがうちとは雲泥の差・・・。

見渡せばそこかしこの人間全員、紫・紫・紫・紫・紫・・・・・
雨バージョンに備えたドぴんくの鳥栖フューチャーズコートがやったら目だってしょうがない。
奇異の目でジロジロみやがって!遠征組みがひとりくらいいるかと思ったが鳥栖サポひとりvs広島数千ってとこか。
総合案内でアウェイ側の入り口をきいたけど分かりやしない。2,3往復して尋ねたが毎回答えは一緒。
そう、そうなのだ!広島サポが長蛇の列をなしている門こそがアウェイ側だったのだ!
(アイヤ〜!こころぼそ〜!ほんと俺ひとりやんか〜・・)
と、開門10分前に見慣れた顔を発見!鳥栖スタのゴール裏コールリーダーの兄ちゃんや!!
普段一度も会話したこともないのに、手挙げて挨拶して
「オレ〜身よりないんでよろしゅうたのみますよ〜」と藁にもすがる思いで声をかけた。
「列の後ろに何人かいますんで」と心強い返事。ヤっホ〜!

試合開始二時間15分前に開門。やたらオレだけ手荷物検査厳しかったがなんとかクリア。
雨降ってるのでアウェイゴール裏にあるスクリーンの下のその一角だけ雨の降りこまない場所に陣取る。
ホーム側はあっという間に埋まり、高層にそびえたつバックスタンド上段まで紫で埋め尽くされた。
しかもアウェイ側スタンドの周りも広島サポ。いごこちワル〜!
 
そうこうしている間にチラホラ鳥栖サポとおぼしき人がやってきて、普段声もかけたこと無い人に
あいさつしまくる。
全国が注目するであろうゴール裏に「ノリヲ」と「村主」のいつものダンマクを張る。
リーダーさんの声かけもあってバラバラだった鳥栖サポは一角を陣取ることにする。
なんとか隠れサポもいたようで50人くらいは集まった。(広島は2万人超だから1パーセントにも満たないけどね)

※※※※※※
そうこうしている間にメンバー紹介。アウェイ側はゾンザイにしか発表されないので
今日は勝手が違うし、聞き逃した。
(広島は電光掲示板だけでなくスクリーンに画像つき)

試合開始まで分からずじまいだったが大体こんな感じ。
 
       大友
    鳴尾    米山
 古川         山道
     村主  陽彦
 三好   井手口  宮川
        藤川

今回は大友1トップでその後ろに鳴尾と米山が入る
ダイヤモンド型の中盤(FW登録は大友、米山)
川前出場停止もあって3バックの3人も今季初の組み合わせの布陣となった。
しかもサイドの古川と山道は下がり気味でほとんど5〜7バック状態。
今期みたこともない顔ぶれとシステムに
この期に及んでまたもや実験的システムを始めるのか!と驚いてしまう。
(翌日の新聞で分かったが今期不振を極めた千疋-アンドレではなく
浜口GKコーチが今回事実上の指揮をとったらしい・・どうりで納得)
今期ほとんどの試合に出ていた鈴木と川崎をスタメンから外した大胆な選手起用だ。
アウェイの白ユニ
試合開始直後は今期鳥栖スタ開幕戦で見たような
「これがJ1のサッカー」とも言うべき圧倒的な攻めで広島が試合を支配した。
中盤で襲い掛かる何枚ものプレスに鳥栖は翻弄され
ほとんど自陣での戦いを余儀なくされる。
と、オフサイドトラップをかけようとしたのかは謎だがDFの最終ラインが
すっからかん、中山?からひょい!と鳥栖やや右の裏に出されて
マルセロはフリーでGKと1対1、前回の対戦でマルセロに仕事をさせなかった
GK藤川だがさすがにコレは止めきれず失点。
広島ビッグスタジアムバックスタンド上段まで膨れ上がった
広島サポから地鳴りのような歓声が起こる。
(FWまで下がり気味で守ってたのになんであそこにスペースできてるんや〜!)
その後も攻めきれないのか攻めないのか分からないが

前線の大友、鳴尾あたりまでボールを回すことが出来ない。
しかし落ち着かない序盤に決められたあとは守備ラインが安定し
広島左サイドの服部の超ロングシュートがクロスバーをかすめたシュートのみが
一番ひやひやさせたくらいで守備意識の高いきょうは
前回、前々回ほど攻められっぱなしという感じではなかった。
井手口が、陽彦が個人技で攻め込む大木、マルセロのシュートの芽を摘む。
(にしても井手口、鳴尾(元広島)がボールを持つとブーイングがすごい)

前線にスピードのある選手を集めた鳥栖、小刻みなパス回しの遅攻で
相手ゴールを狙うがなかなかシュートにまで持ち込めないでいたが
広島一瞬のスキをついて右サイドへ絶妙のスルーパス。
(誰かみえなかったが)右の深い位置で粘って広島はこらえ切れずコーナーへのがれる。

蹴るのは今日はめずらしく米山。
鳥栖サポは「ゴール!ゴール!」の声援で後押し。
・・・と、ゴール中央に上がったクロスに対して飛び込んだのは鳴尾。
ヘッドで押し込んでズドン!とゴールに突き刺さった・・か!?
・・・・・。?
鳥栖サポ最後列のオレは旗振って喜ぼうとしたのに
だれも盛り上がってない・・・。
「?????」
(何で誰も盛り上がんないの?ゴールやないんかいな?)
いや、でもピッチ上の選手は喜んでいるやんか〜。
・・・そう、アウェイ独特の雰囲気でスタジアム全体が静まり返ったので
鳥栖サポもゴールかどうか分からなかったらしい。
鳥栖の選手が自陣に戻ってきた頃に遅れて鳥栖サポやんやの喝采!
旗持って走り回ってしもうた!
「サガン鳥っ栖!サガン鳥っ栖!」が0.25%の少人数ながら鳴り響く。

このままいけるんじゃないか〜?同点でもJ2の歴史に残るぞ!と思いはじめた
前半ロスタイム。
ゴール正面の危険な位置で宮川?が相手を倒したということでFK。
(これってシュミレーション臭くないか!?)とも思わせる広島の汚いプレー。
(このへんのジャッジが今日は曖昧だったように思えた)
鳥栖は壁を作って迎え撃つが、壁の間に広島の選手に割り込まれ、キックと同時に
そこがパックリ開かれる。広島森崎兄のキックはスピンの効いた強烈なシュート。
三好?の体に当たってさらに変な回転となり、飛び込んだ藤川の右手の“ココだけは
届かない”という位置に吸い込まれていった。
そのあとすぐ前半試合終了の笛。んんんんんんん・・。


※※※※※※
後半開始も選手交替はない。
時々降ったりやんだりの雨で少々肌寒いが昇格を目前にした広島サポの熱気で
スタジアムは異様にテンションが高い。
鳥栖は後半攻め込まれているような感じだが、実際はそれほどでもないようだ。
広島側の歓声がスゴイので大きく外れたシュートもかなり惜しかったように思えるのだ。
それに釣られたのか審判、我々の目の前で明らかに広島DFに当たって出たボールを
広島ボールとの誤審が数件、鳥栖サポの怒りも広島の歓声の前にかき消されてしまった。
さすがにこの雰囲気では審判も身の危険を感じたか・・・


膠着状態の中ベンチが動く。今期序盤にケガで戦列を離れていた矢部っちが
ようやく姿を現した。ケガ中も黙々と別スケジュールでグランドを走っていた姿が目に浮かぶ。
「♪OH〜!ヤベジロ〜!」・・この歌ひさびさ聞くな〜。
この替わったやべっちが献身的に動き回り本来よりも高い位置で広島陣内に攻め入る。
ただ、今期毎回みられたサイドを崩しても、中に飛び込む選手がいない、という
単調な攻撃でシュートまでは持ち込めない。このシーン何度見たことか・・。

後半さらに小石、朝比奈を投入、矢部、朝比奈、小石の3トップというミョ〜なFWになった。
一方の広島は無理して攻めないのか前半とは打って変わってカウンター狙い、
40分過ぎには鳥栖が攻め込む形となる。
2003年鳥栖スタジアムの開幕戦、1-4の劣勢から立て続けにゴールし3-4、
そのごもゾクゾクする波状攻撃で王者広島をあわやというまで追い込んだ試合を彷彿とさせた。

ただ右からのコーナーキック、鳴尾のロングスローも雨でボールコントロールできず
フィニッシュまではいけず仕舞い。

そしてロスタイムもチャンスを作れず無情の試合終了のホイッスル。
続いて熾烈な昇格争いを繰り広げる川崎の引き分け、新潟の負けが
スタジアムDJから告げられると場内は歓喜のバクハツ!
立ち尽くす鳥栖サポ・・。
雨足がひどくなりずぶぬれになりながら昇格セレモニーを見届ける大盛り上がりの広島サポを尻目に
そそくさと片付ける我々。
「このシーン、目に焼き付けておこう!そして俺たちも絶対・・」
そういう声が鳥栖サポから流れる。

目の前で昇格を許し、J2最小勝ち数記録を更新したこの試合俺は忘れないだろう。
しばらくココへくることは無いだろうがいつかJ1で広島とやれる日がくることを信じておこう。

帰りのパーキングでもみじまんじゅうを買った。
佐賀在住のB&B島田洋七の顔が浮かぶ・・。
広島なんか喰ってしまえ!明日は牡蠣を喰おう。


(画像はのちほどupします)